U理論を実践して、わたしたちの生活に起きるイノベーションとは?


先回は、U理論によって、ひたすら観察するプロセスを通じて研ぎ澄まされた「直感的な判断」が「未来に向かって現れ出る」ことによって経験したことがないような問題を解決し、イノベーションを生み出すことについて述べました。

しかし、あらゆる理論は実践されて価値があるものです。そこで、今回はこの理論が実際にどのようにわたしたちの生活に影響を与えるのかをより具体的にご説明しましょう。

U理論は過去や偏見にとらわれない

例えば「リーダーシップ」とU理論を結びつけて考えてみましょう。

一昔ですと、「リーダーシップ」とは明確なビジョンを持つリーダーが他のメンバーに率先して物事をバリバリと推し進めていく様子をイメージしたものです。

これですと、部下はどちらかと言うと、それに追随するだけで、自分の意見を言うことなどは許されないため、強力なリーダーによってプロジェクトはスピーディーに進むものの、自分の持ち味を出せないというデメリットもあります。

また、リーダーは自分の過去の経験や、「こうあるべき」というバイアスのかかったビジョンを持っているため、遅かれ早かれ行き詰まります。

しかし、U理論に基づく「リーダーシップ」は他のメンバーが持っている個性や知恵を活かそうとします

自分のビジョンが間違っているかもしれないし、完璧ではないということを認め、まずは「観察する」、つまり他のメンバーとのコミュニケーションをよくとること、また実際に自分も現場に出て、部下とともに働くことを好みます。

こうしたアクションをとるためには、自分を手放すことが必要なため、勇気が必要ですが、物事の全体像を知らず知らずのうちにつかむことができるようになります。

手を動かしているうちに確信が湧いてくる

自分で考え抜き、絶対にうまくいくと思っていた企画やプロジェクトが部下の指示やサポートが得られずに、散々な結果になってしまった、という経験をしたことのある方もいらっしゃると思います。

かたや、自分ではどうしたら良いのか分からない状態だったのに、それをこちらから部下に伝えたところ、彼らも頭を悩ませたり、いろいろとアクションを起こしたりしてくれて、気が付くと企画が形になっており、「根拠のない確信」に基づいて「これは絶対にいける!」と思えるようになった経験もおありかもしれません。

言ってみれば、後者がまさにU理論が目指すべき形です。

U理論の提唱者であるオットー・シャーマー博士は「大事なのは感情として表れ、それはなぜというよりも何という感覚」だと述べます。

PDCAサイクルに信頼を置く方たちには「そんな感覚的なものは頼りにならない」と批判されそうですが、実際、多くのイノベーションがそうした「感覚的な判断」から生まれていることも事実です。

リーダーシップは部下や他人に対しても発揮されますが、実はもっとも大事なのはひとりひとりが自分のリーダーにならなければならないということです。

U理論を身に付ければ、自分の感覚をもっと信じることができるようになり、自分に自信を持ち、自分を愛することができるようになるはずです。是非、実践してみてください。


この記事の著者

木下 まさひろ

木下 まさひろ

学習塾、法律事務所勤務を経て、現在は海外在住。『Festina lente(ゆっくり急げ)』を座右の銘に真のスローライフを実現すべく奮闘中 。毎朝の野菜ジュースと週3回のジムは欠かさない。40代前半。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る