
マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、デニス・ロッドマン、シャキール・オニールは、NBAに興味がない人でも知っている名前だと思いますが、彼らの能力を引き出した伝説的なヘッドコーチがいます。それがNBAのチームを率いて11回もNBAファイナルを制したフィル・ジャクソンです。
フィル・ジャクソンがスゴイ理由

フィル・ジャクソンはマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズに、シャキール・オニールがレイカーズに在籍していた時代にヘッドコーチを務め、ブルズで6度、レイカーズで3度ファイナルを制し、合計11回の優勝を手にしました。
能力も個性も半端ないNBA選手たちを束ねるためには、強烈なリーダーシップが必要だったはずと考えますし、彼の厳つい風貌を見ると相当厳格なチーム管理をしたはずと考えがちですが、実はその逆でした。
デニス・ロッドマンを動かしたフィル・ジャクソンの手法とは?
漫画「スラムダンク」の桜木花道のモデルにもなっているデニス・ロッドマンは卓越したディフェンダーであり、高いリバウンド能力を誇っていたものの、全身タトゥーや赤く染めた髪で知られ、チームの規則を破ってばかりの問題児でした。
しかし、ブルズ時代のフィル・ジャクソンはそんなロッドマンに規則を守ることを強要することはありませんでした。規則で相手を管理しようとするのではなく、選手としての自覚を持てるように助けました。
そこで前日門限を破ろうが何をしようが練習に来る限り、文句を言わず、ロッドマン自身が練習のパフォーマンスをあげるために自分の生活をどのようにコントロールしたら良いか気づけるように助けたと言います。
つまり、彼のリーダーシップとは、「こうすれば絶対成功する」というような公式化されたものではなく、一人ひとりの選手に向かい、選手の強みを最大限に引き出すためにはどうすれば良いのかということを考えていた、ということになるでしょう。
フィル・ジャクソン流のリーダーシップに倣う

近年はビジネスにおけるリーダーシップに関する見方も大きく変化してきています。かつては戦争で軍隊を率いる統率型の人間こそがリーダーの典型だと考えられていましたが、今では羊の群れを導く羊飼いのようなリーダーシップが求められています。
戦争においては兵士が命を失うとしても最も重要なのは勝利です。つまり、個よりも全体を重視します。しかし、羊飼いにとって羊一匹一匹が大切であり、どの羊も失いたくない大切な存在です。
今のストレスフルな現場では、リーダーは職場で大きな声で上から目線で命令したり、叱咤激励したりするよりも、一人ひとりに気遣いの言葉をかけて、元気づけてあげるべきなのです。
そして、結局は1人1人が主人公であり、主体的に行動しなければならないことに気づかせてあげる必要があります。
戦争においてリーダーは先頭になって突き進みますが、羊飼いは羊の後ろから声をかけます。今、ビジネスに求められているのは後者のリーダーです。そして、フィル・ジャクソンはまさにそんなリーダーだったのです。