どうしても残業をしてしまう日本人  その種は幼少期に撒かれている


もっと、もっと、もっと! 天井のない親の欲求


突然ですが、「残業を当たり前のようにしてしまうメカニズム」、実はこれを、成長過程の「幼少期」に既に植え付けられているのでは? と以前から考えていました。

そこで質問です。

次の状況下において、皆さんなら自分のお子さんに(もしくは生徒に)どのような声掛けをするか、想像しながら読んでみて下さい。

<状況>10歳の小学生。学校から出された宿題をやりました。30分目安で終わる内容です。

(1) 15分で終えてしまった場合。(予定時間の半分)
(2) 30分で終えた場合。(予定時間通り)
(3) 60分かかった場合。(予定の2倍)

ここで私が注目したいのは、(1)のケースです。

人は何故か「平均もしくは平均以下の結果を出した者」に対して、更に目標以上の成果を求める心理はあまり働かない気がします。「与えられた事さえクリアしてくれれば」と思うからです。

しかし問題は(1)の「平均以上の結果を出した者」への対応です。

もしも自分の子どもがとても優秀で、何でも時間内にサクサクこなしてしまうタイプの場合。

親や学校・塾の先生は「この子はもっとできるのではないか?」と期待して、更に高度なものを目指させたり(受験校の変更)、人よりも先に進ませたり(予習、明日の分)、人よりも多くの課題を与えたりしないでしょうか・・・・?

その子から感じる「のびしろ」を放っておくのが心情的にもったいないからです。

しかし30分で終わればいいところ15分で終えたのなら、本来その子には「15分のフリータイム」を与えてもいいのです。

いえ、与えるべきなのです。

「他者よりも早く成果が出せた場合は、自分の時間が増え、より得をするはず」なのです。

有能なほど疲れてしまう社会システム


では、大人になって社会に出たらどうでしょうか? やはり同じことが起こる場合があります。

有能であればあるほど、要領が良ければ良いほど、どんどんやることが増えて、何故か業務量も増していく・・・・・。 

「仕事ができる人には無限に仕事が集まり、忙しい人は万年忙しい」そんなケース、周囲にありませんか? もしくはご自身がそいういうタイプの方も、少なくないと思います。

しかし、私はそれが日本人の業務システムの「悪い部分」であり、残業が減らない理由の一つだと思っています

やればやるほど、頑張れば頑張るほど仕事が増えていく。エンドレス・ループ。

「個人」よりも「班」で業務を行うことの多い日本の会社では、誰でも頼りにされたり期待されること自体は悪いことではありません。

しかし、期待に応えていくうちに首がまわらなくなることがあります。時間がいくらあっても足りなくなります。気が付くと、常に業務に追われ残業してしまいます。「やる事が減らないから」残業せざる得ないのです。

しかも悲しいことに、長時間労働は確実に効率を下げます。そしていつか、プツンと心の糸が切れて、精神と健康のバランスを崩してしまいます。

人より有能なのに、成果も出しているのに、そんな負のサイクル、理不尽だと思いませんか?

ONとOFFの大切さを教える


私は「残業の恒常化」や「やってもやっても終わらない」という状況を作り出してしまう日本社会の風潮の種は、子どもの時代に撒かれてしまっていると思います。

先に挙げた例のように、周りの大人が「もっともっと。先へ先へ!」と子どものお尻を叩いてばかりいると、子どもは「休む」ということを知らずに、前進のみがいいことなんだ、と思ってしまうかもしれません

人より早くやる事が終わったり、要領がいい子どもは、もっと「得」をするべきなのです

自分が有能だったり工夫をした結果生み出した余剰時間を「自分の為に使える」という事を学ぶと、その子は「効率化」や「集中することの意義」を見い出し、更にいい結果を出そうと思うようになるのではないでしょうか? まさに相乗効果です。

もちろん、残業の理由はこれだけではありません。しかし、大人も子どもも「ON と OFF」は絶対に必要です。

「ONの時は誰よりも集中して結果を出す。結果を出したら充分に休息し、OFFになる」

幼少期からこのメンタリティーを育てれば、将来労働への向き合い方が変わっていき、社会全体すら動かすのではないかと思います。

そろそろ日本人の「働き方」を真剣に見直す時期がやってきました。電通での悲しい出来事を、決して繰り返してはならないと思います。そして「働き方」の訓練は、実は育児中に始まっていることなのかもしれません。


この記事の著者

エメラルド

エメラルド

都内在住40代の働くママ。ただし2人の息子の育児を最優先すべく、自営で時間をやりくりしながら充実しまくった育児生活を満喫中。「人間を育てるには年月がかかる。短期的プランでは無理」と心から思っており、幼児教育や人材育成、また海外経験を生かしたグローバル教育をライフワークとする。息子達はバイリンガル。

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