外国語の習得に必要な知識 ―耳の「黄金期」と「臨界期」-


小学校3年生から英語が必修に


パパ達に「若い時にやっておけば良かった、と現在思うことは何ですか?」と質問すると、かなりの割合で「英語」という答えが返ってきます。

育児中のパパ達は、何とかして自分の子どもが外国語を習得してくれないだろうか、と思っていらっしゃる方が多いようです。

2016年12月末、中央教育審議会(文部科学省内)は、平成30年から一部の小学校で先行実施、平成32年からは全国の小学校で「外国語活動を導入する方針」を打ち出しました。

グローバル化や英語を初めとした外国語習得の重要さが謳われている中、中学校からの導入では遅すぎるとわかっていただけに「やっとここまで来たか感」は拭えませんが、小学校3年生は「聞く、話す」を中心に、小学校5年生からは徐々に「読む、書く」の技能習得を目指すそうです。

しかし英語をはじめとした外国語の導入は本当は早ければ早いほど良く、小学校1年生からでも遅い位です。

その理由は何故でしょうか?

外国語に触れる「時期」

私は高校生の時に1年間アメリカに留学し、その後も数年間再びアメリカに住む機会があったにもかかわらず、未だに聞き取れない音やうまく発音できない単語があります。

一方、アメリカで育った2人の息子達は母国語の日本語と、訛りのない英語の2か国語を話します。彼らから言わせると、私の英語は発音が変でイライラするそうです・・・

私も息子達も、たまたま二代続けて同じアメリカという国で過ごす機会がありました。むしろ私は中学校でそれなりの時間数の英語に触れてからの留学に対し、息子達は2歳と6歳で渡米しました。

しかし当時は英語の「え」の字も知らなかった彼らも、今では私より数段高いレベルで「聞けて話せる」わけです。

この違いの理由は1つしかありません。

「何歳の時に母国語以外の語学に触れる機会があったか」

これだけなのです。

耳の「黄金期」と「臨界期」


子どもの耳には「黄金期」と「臨界期」というものがあり、この時期を逃すと「母国語以外の音」を拾いにくくなってしまいます。

「黄金期」は生まれてから3歳位の間、特に生後8カ月位までは黄金期の中でも無敵で、どの国の赤ちゃんもでも、全ての言語やその発音を習得できる非常に特別な時期にあたります。

「臨界期」は7~8歳位までです。この時期を過ぎると聞き取れる音域が固定化されつつあり、それまでに触れてこなかった音が聞き取りにくくなります。

この「臨界期」を遥かに過ぎてから留学した私と、「黄金期~臨界期」にかけて外国語に触れた息子達とでは、「ヒヤリング力」に雲泥の違いが生じました。

外国語は「ヒヤリング」ができないと、「スピーキング」に繋がりません。相手が言っていることが理解できて、初めて自分が発言し会話が成り立つからです。

外国語習得にとって「ヒヤリング力」は要となります。

2020年 変わる大学入試


日本人は、総じて「読めて書ける」けれども、「聞けないし話せない」人が目立ちます。

残念ながら長期間に渡り、日本の学校ではコミュニケーションへの実用には逆行する英語教育を提供してきたのです。

その現状にさすがに危機感を感じたのか2020年の大学入試から特に「英語科目」は大変革が決定、4技能をチェックすることになるそうです。

ここで大変なのは、「ヒヤリングとスピーキング」です。「臨界期」までに外国語に触れる機会が少なかった生徒にとって、聞いたことのない音を聞き分けたり理解する技能は一昼夜での習得が困難です。

では、家庭でできることは何でしょうか?

とにかく色々な「音」を耳に入れてあげよう


生まれて直後から8カ月位までの「全ての音を取り入れることができる時期」にあたるお子さんを育児中のご家庭は、とにかく様々な言語を聞かせてあげる方法が有効です。

たくさんの「音」に触れさせて耳の回路を開き、ありとあらゆる音域を経験させてあげるのが目的です。
*多くの場合、音域は「周波数(ヘルツ)」で表わされます

・日本語(母国語)
・英語
・中国語
・ロシア語
・スペイン語やフランス語

これら言語の歌やお話を絶え間なく流してあげれば、理論的にはそのお子さんはパパやママには聞き取れない音域や音が聞き取りやすくなるはずです。

「黄金期以降」のお子さんを育児中のご家庭は、「英語」のDVDや音楽を積極的に生活に取り入れてみて下さい。英語は外国語の中でも音域が広い言語となりますし、やはり世界共通語として他の外国語よりも優先するメリットがあります。

「臨界期以降」のお子さんを育児中のご家庭でも、本人が理解できるできないは度外視し、なるべく多くの時間 「聞き流す英語」を心掛けてみて下さい。音が拾えるようになれば、意味を知る作業は後付けでも問題ありません。

繰り返しになりますが「ヒヤリング力」がなければ、怖くて話す勇気さえ持てなくなってしまいます。外国語習得の近道、それは「ヒヤリング力を高める」です。

一方、外国語を習得すること自体に年齢制限はありません。私のように高校生になってからでも、社会人になってからでも問題なく英語を聞いたり話したりすることは可能です。

ただ、「より綺麗な発音」や「日本語にない音の認識」を目指すのであれば、早期に耳を慣らしておくに越したことはないでしょう。

発音が良いのはとても大切な要素で、相手に聞く耳を持ってもらいやすい状況を作り出せます。

2020年東京オリンピック・パラリンピックは目前です。

訪日外国人数も2000万人を突破し、近い将来2500万人に到達します。ヒヤリング力を突破口に、親子で外国語習得にチャレンジしてみて下さい。

Never too late です。


この記事の著者

エメラルド

エメラルド

都内在住40代の働くママ。ただし2人の息子の育児を最優先すべく、自営で時間をやりくりしながら充実しまくった育児生活を満喫中。「人間を育てるには年月がかかる。短期的プランでは無理」と心から思っており、幼児教育や人材育成、また海外経験を生かしたグローバル教育をライフワークとする。息子達はバイリンガル。

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